心から安心して住める家をつくるための構造計算-2~ユキ・アートの家づくり~

家づくりコラム

こんにちは。静岡市の建築アドバイザー 建築工房ユキ・アートです。
暦の上では今日から入梅。ウエザーニュースによると今年は梅雨入りが一週間ほど遅れる見通しだそうですが、梅雨の雨の降り方も数年前とは大きく変わり、いわゆるゲリラ豪雨が多くなりそうだとのこと。注意して過ごしたいものです。

さて、では先日の続き。耐震等級2の家が、2016年熊本地震で全壊した謎のお話です。

日経新聞記事「耐震性能住宅の盲点 「2000年基準」倒壊の理由

耐震等級1は地震の際、損傷は受けても命は守れる建築物。耐震等級2はその1.25倍の強さの建物のことです。本来ならばこの耐震性能を備えた住宅は全壊することはないはず。
なぜ全壊してしまったのでしょうか。この先も「耐震等級」を信頼していいのでしょうか。

実は、建築基準法では二階建て以下の木造建築については構造計算をしなくてもよいことになっていて、「4号特例」と呼ばれています。

このため、耐震等級を判断するための構造計算の方法が実質2種類あるのです。

一つは、ユキ・アートが耐震等級を確認するために使っている、本物の構造計算。柱一本一本にかかる力を計算する、「許容応力度計算」という方法。もう一つは、4号特例で認められた、「仕様規定」で使われる壁の量がこのくらいならこのくらいの強度になるだろうというアバウトな「壁量計算」から算出する方法です。

この「仕様規定」は、大きな地震のたびに進化し、改善されていますが実際に「許容応力度計算」で構造計算してみると構造計算上の必要な壁量に満たない家が存在すると言われています。熊本地震でも、「仕様規定」で、壁量だけでなく上下の階の柱と耐力壁のつながりがないと強度を保てないことを見落としていたため耐震等級2の家が全壊してしまったのです。

ちなみに壁量計算のほうは、図面さえあれば、パソコンですぐに計算できてしまいますが、許容応力度計算は、専門の業者に依頼して、木造二階建てで、A4の書類約2センチほどの厚さの冊子として出てきます。費用もかかりますが、命を守る家をつくるためには必要経費であるとユキ・アートは考えます。

この「柱など部材一本一本にかかる力」を計算する本物の構造計算を用いることで、どうしても思い通りの間取りを作れないこともありますが、構造をきちんとすることで、安心して住んでいただくのが一番大切です。そのうえで、どうしたら理想に近づくか考え工夫していきます。

筋交いを見せるこういった間取りも、圧迫感を見せずに広い空間をつくる工夫の一つ。
筋交いを壁の中にしまわないことで、開放感と明るさを保っています。

安心できる家に住みたい。と考えるのは、地震の国日本では当たり前のこと。
いざという時にも安心して身を守ってもらえるように、ユキ・アートは構造計算を大事にしているのです。